自転車移動の「ナス男」、つくば到着-寄付金届け地元民も歓迎

つくばに到着した「ナス男」

つくばに到着した「ナス男」

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 竜巻被害のあったつくば市北条地区に自転車と寄付金を届けるため、兵庫県明石市から自転車で募金を呼び掛けながら走行していた、着ぐるみをかぶった「ナス男」こと鈴木佑さんが5月26日、つくば市に無事到着し寄付金と自転車を寄贈した。

相棒だった自転車と、道中で集めた募金を寄付するナス男

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 鈴木さんは「竜巻被害のニュースを聞いて、使っていない自転車が自宅にあるのを思い出した。被災地に笑顔と話題を届けるため、募金活動も兼ねて自転車をこいで向かう事を決めた」という。6日間の移動で、計650キロの距離を走破した。1日100キロ以上の距離を走れたのは、現地を思っての行動だったからだという。

 現地では情報を聞きつけた地元住民らが鈴木さんを待ち構え、ナス男のイラストが描かれた幕などを持ち到着を歓迎した。鈴木さんは「地元の人が待っていてくれた事、こんな怪しいナス男に募金の協力をしてくれた事、そして応援してくれる人がいた事、それらが何よりもうれしかった」と話す。

 当初は普段の服装で走行していたが募金活動がうまくいかず、あえて目立つ格好で注目を浴びようと、道中で着ぐるみを購入した。ナス男となってからは話しかけられる事も多くなり、募金も順調に集まり始めたという。

 「一番大変だったのは箱根越え。雨に打たれながら山道を走るのはつらかった。ほとんど自転車を押して歩いた。下り坂もきつく、途中で自転車のブレーキも壊れてしまった。結局、今回の道中、自転車の修理費だけで5,000円以上を使ってしまった。もちろん募金のお金には手を付けていないが、修理せず募金箱に同額を入れた方が良かったかも」と鈴木さん。

 「3日目の時点で、現地の友人から自転車の寄付は足りている事を知らされて衝撃を受けたが、気にせず走った。その時もけっこうつらかったかもしれない(笑)」とも。

 「現地の状況や地元の人たちの話を聞いて恐ろしさが増した。どこでも起こり得る災害だけに人ごとには思えなかった。心配していたが、地元の人たちは前を向いて歩き始めている。その姿は本当にかっこいいと感じた。あらためて、今後も何かの力になっていきたいと思う」と鈴木さん。

 「現地の北条地区ではまだまだお金が足りない。ナスの姿になる必要は無いが、募金の協力を全国規模で行ってもらいたい。誰でも何かの力になれるはず。そのきっかけになれれば」とも。

 「北条地区の復興と全国からのさらなる支援を願っています」と話し、自転車を寄付し帰る手段を失った「ナス男」鈴木さんは、ナスの格好のままヒッチハイクで帰路に就いた。

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