筑波山神社の隣に立つ老舗旅館「筑波山江戸屋」(つくば市筑波、TEL.029-866-0321)で9代目おかみ・吉岡久子さんの「ガマの油売り口上」が今年も始まった。
古くから筑波山に伝わる「ガマの油」は大阪冬の陣・夏の陣に従軍した光誉上人が治療に用いたこう薬で、光誉上人がガマに似ており「ガマ上人の油薬」と呼んだのが始まりと伝わる。
同館では、戦後の混乱期に久子さんの夫・吉岡茂夫さんがこう薬を売り出し、以来、口上語りも同館名物として続いている。
近年は、夕食時の乾杯に合わせて公演しているが、昨年の口上回数は200回以上。約15分間の伝統芸の熱演に、利用客たちは大きな拍手を送っている。
今年も、正月を同館で過ごす客を相手に語りは始まった。久子さんの孫娘にあたる吉岡美奈さんは「筑波らしさや由緒を伝え、この地を訪れるお客さんに喜んでいただきたい。わたしにはまだまだだが、何とかこの伝統を持続していきたい。今年は昨年を上回る回数になるといい」と話す。
同館では久子さんの口上風景を収めた動画を同館ホームページ上で公開。CDも制作し、この伝統芸を紹介している。