物質・材料研究機構(NIMS)(つくば市千現1)は、春の一般公開中止のため、ウェブサイト上で「NIMSロゴコンテスト」と「材料なんでも相談室」を開催している。
同コンテストではさまざまな材料で「NIMS」の文字を表現する動画や写真をツイッター上で募集する。水の性質を使う「お題1」、任意の材料を使う「お題2」、「アイデア部門」ではアイデアはあるが実験をすることが難しいものを絵にするという3つの部門を設けた。「材料なんでも相談室」では、さまざまな材料に関する質問に3人の研究者が回答する。
同機構の一般公開は、この4年で来場者数が9倍以上となり、数千人の「材料ファン」で盛り上がるイベントとなっている。広報室の中道康文さんは「今年も材料研究の魅力や大切さを、特に次世代の中高生に深く実感してもらう機会にしたい」と、通常開催を見送った後も「ウェブde一般公開」とし、オンラインの企画を準備していた。通勤自粛要請を受け「やむなく延期という判断をした」が、多数の応募があった「材料なんでも相談室」と「NIMSロゴコンテスト」については募集の継続を決めた。「こういった事態なので仕方ない」「再開が楽しみ」といった声も届いている。
同機構はユーチューブでの動画配信にも力を入れており、チャンネル登録者数は15万人を超える。NHKのテレビ番組「ピタゴラスイッチ」などを制作するユーフラテスとコラボした動画もあり、中にはさまざまな材料の性質を使ったロゴマークのシーンもある。中道さんは制作担当者から「この表現には、超電導や超撥水(はっすい)といった材料の性質の深い理解が必要。面白いと感じる部分を抽出し、魅力的に見せるために試行錯誤している」という話を聞いており、「その思考の過程に、科学の『考える楽しさ』のエッセンスが詰まっている」と感じたという。「視聴者にも参加してもらうコンテンツを」と材料を使ったロゴを一般から募るコンテスト形式の企画となった。
現在、28件の応募があり、中道さんの個人的に好きな作品は「砂糖と塩で作られたロゴ」と話し、「どの家庭にもある身近な材料をフライパンであぶるだけで見事にロゴが浮かび上がってくる発想に思わずうなった」と言う。応募作品はツイッター上で見ることができる。
なんでも相談室は「子どもたちの何げない質問に研究者が回答すると面白いのでは」というアイデアから生まれた。回答者には「普段から研究だけでなく雑学にも答えてくれる小森和範さんや、フランスから騎士の称号を贈られた大橋直樹さん、ナノの世界で戦う「ナノカーレース」に出場した経験を持つ中西和嘉さんを仲間に加えた」と言い、万全の体制を整えた」と胸を張る。既に97件以上の相談が来ているという。
「家の中を見渡し、金属が固いのはなぜか、最強の盾はどうやって作れるのかといった、気になったことをなんでも送ってほしい」と言い、「ロゴのアイデアも、実は身近にいくつも潜んでいる。家でじっくりと、家族でチャレンジしてほしい」と参加を呼び掛ける。