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アパレルブランド「ALL YOURS」社長・木村昌史さん、つくばからリモートワークを応援 作り手と受け手の垣根を越える

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 「インターネット時代のワークウエア」をコンセプトに「着たくないのに着てしまう」ジャケットとパンツなどの商品を展開する ALLYOURS(オールユアーズ)。社長の木村昌史さんはつくば市在住。新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛要請が出される中、つくばの自宅から自身もリモートワークしながら、マスクの販売、マスク型紙のクリエーティブ・コモンズ化や自宅でも着やすいワークウエアなど、リモートワーク応援の施策を打ち出している。

(ALL YOURS社長 木村昌史さん)

普段は洋服を作られていますが、3月には布マスクの生産も開始しました。反響はどうでしたか?

前回は10分で2000枚売れて、20分で完売しました。買えないお客さまには迷惑をお掛けしましたが、今回は量産の体制を整え、初日の4時間で1万枚が売れました。カラーバリエーションも白とネイビーの2色にしました。届くべき人に届けたいです。

 

ーマスクの型紙を公開されて話題になりました。

 ウェルビーイングなどの研究をされているドミニク・チェンさんに今回のマスクの件をお話ししたら、「クリエーティブ・コモンズにしたらどうですか?」と提案を受け、指導いただいてマスク型紙の著作権をフリーにしました。

 今、マスクは慢性的に不足しています。うちでも何億枚も売るなんてことはできない。スタッフが自分の花粉症対策のために作っていたマスクを試しにツイッターにアップしたときに大きな反響があり、布マスクを作ってみようとなりました。「ないない」と言うだけでなく、「作る」という選択肢も必要だと思い至りました。オールユアーズのマスクは高機能ではありません。「自分で作る」を重視しています。下手でもいいんです。「自分でやったことがある」は自信になります。誰だって最初は初心者だったんですから。

 資材の不足や買い占めが起こるのは「他者依存」しているから。グローバル経済の中でどうしてもそうなってしまう。他人や他国に依存して、急に日本にものが入って来なくなる。これって本当に便利な世の中なのかという問いを以前から持っていました。

(再販したマスク)
 

ーアパレルブランドが「自分の手で作る」ことを推すのは珍しいですよね。

 僕も東日本大震災のときは、北千住で地震に遭い帰れなくなりました。近くの避難所で避難したのですが、そのときには何もできませんでした。そこからDIYを意識するようになって、プライベートでもさまざまなものを作るようになりました。今の状況で言うと、「マスクを作る」ということがベストな解決策や答えではありませんが、「自分の手でやったことがある」という体験や「自分で何とかしよう」と思う気持ちや力は生きていく上で重要です。

 

ーつくばでは今年2月、ものづくりの祭典「Tsukuba Mini Maker Faire2020(メイカーフェア)」が開催されました。

 今はもう「みんながつくる」時代。昔、クリスアンダーソンの「メイカーズ」という本を読んで「作ることで自分の手に生活を取り戻す」というメッセージに衝撃を受けました。その文脈を受け継いだメイカーフェアがつくばで今年開催されて本当にうれしかったです。もし次回開催されるならマスクの型紙を持って出展者として出てみたいです。

ー木村さんのつくば歴はどれくらいなんでしょう。

 25歳のときから、仕事の転勤で住み始めて12年ほどです。そのうち、5年はつくば駅前のライトオンに勤めていました。つくばでの生活はとても気に入っています。都内に通勤もできて、帰ってくると静か。目の前の風景がのどかなので、一日で一気に環境が変えられます。オンとオフのスイッチが強制的に入れられるのがいいです。休みの日に遠出したいという欲が減りました。

ーつくばは東京に通勤する人も多いので、今回突然リモートワークするように言われた人も一定数いらっしゃいます。自宅で仕事してみてどうですか。

 移動時間の代わりに家事をするようになったので、料理に凝っています。自分で作ったものはおいしいですね。仕事には今のところ、個人的には支障がありません。後は、つくばセンター周辺はWi-Fiが速いと思います(笑)。リモートワーカーには最高。そうした経験から、リモートワーク時に快適に仕事ができる服として着てもらえるよう、「リモートワーク応援プラン」も導入しました。

ー「あたりまえは、変えられる」というキャッチコピーを3月に打ち出されました。これからはどんな展開をされていくのでしょう。

 今はお客さまとブランドの関係性が変わってきていると感じます。いい製品を届けるという使命はあるけれど、自分たちのやっていることをどう共有するかも重視しています。もちろん商品としては完成されたものを作って届けますが、マスクの話にもあったように、「自分にもできるかもしれない」と感じてもらいたいです。新型コロナウイルスの影響で世の中の「当たり前」が変わってきているからこそ、「作り手」と「受け手」を完全に分けるのではなく双方向にしていきたい。誰でも、どちら側にでも行けるという意識を持ち、ただ消費するだけではなく、作り手側のプロセスや考え方まで知っていただけるとうれしいです。

 

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