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休校中の子ども向け「デジタルコンテンツまとめ」 つくばの研究機関中心に

つくばの中心メンバーであるNIMS長谷部喜八さん、KEK高橋将太さん、NIMS中道康文さん。それぞれ研究機関の広報担当

つくばの中心メンバーであるNIMS長谷部喜八さん、KEK高橋将太さん、NIMS中道康文さん。それぞれ研究機関の広報担当

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 新型コロナウイルスによる休校の影響を踏まえ、科学技術広報研究会(JACST)が、ウェブサイト「休校中の子供たちにぜひ見て欲しい科学技術の面白デジタルコンテンツ」を、2月29日に緊急公開した。

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 同会は全国にある約80の研究機関の広報担当者による任意団体。各機関が持つ、動画や工作用のデータといったデジタルコンテンツをウェブサイトで一覧にまとめた。「さっと見られる映像」「のんびり延々と見たくなる映像」「ゲーム要素のあるコンテンツ」「よみもの」「工作」「VR対応映像」「講演会・サイエンスカフェ・成果発表などの映像」といった7カテゴリに分かれており、140人の同会会員により随時更新されている。

 2月27日の政府の休校要請を受け、翌日28日に基礎生物学研究所広報担当の倉田智子さんが「子ども向けの動画配信ができないか」と同会に提案。つくばの研究機関である高エネルギー加速器研究機構(KEK)、物質材料研究機構(NIMS)などのメンバーを中心に反応し、JACSTのプロジェクトとして進めることになった。Googleスプレッドシートを使ってメンバーからお薦めのコンテンツを募り、それを集約したサイト公開まで1.5日というスピード対応だった。物材研の長谷部喜八さんは「こんなに速い対応が出来たのは初めて。国立の機関も多く、普段は確認事が多いが、今回は緊急時という認識で足並みがそろった」と言い、「広報には何かやりたいとチャンスを狙っている人が多く、大変な状況ではあるが私たちには良い機会でもあった」と話す。

 サイト内でも特につくばの研究機関のコンテンツが多い。長谷部さんは「つくばは研究機関が集まっているが、研究機関の協力体制はそれほど強くない状態。つくばを中心に盛り上げたいと改めて感じた。せっかくの知の集積地が地盤沈下してはいけない」と語る。KEKの高橋さんは「全国の研究機関がこうやって集まれるのはすごいこと。その中でチームつくばとしても一丸となっていきたい」と意気込む。

 反響も大きく、NIMSの公式ツイッターでは2万6000件以上のリツイートがあり、「大人も楽しめる」「研究機関が協力してやるのはいいこと」といった好意的な声が寄せられている。NIMSの中道康文さんは「私たち自身もこんなに面白いコンテンツがあるんだという気付きがあった。日本の科学のポテンシャルや面白さを再確認できた」とも。

 今後について、中道さんは「張り切ってしまいコンテンツが集まりすぎたため、小中高で分ける、分類を分けるなどを整えたい。このまま続けて、3月いっぱいは展開したい」と意気込む。「広報の役割は科学の魅力をいかに一般の方に知ってもらうかを工夫すること。子どもたちが科学に興味を持つきっかけになれば」と期待を込める。

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