筑波大医学群5年生の森陽愛子さんが、カスミ筑波大学店(つくば市)で、正月に向けた餅の窒息予防のための動画配信を12月26日、行った。
配信では、万が一餅が詰まった場合の応急処置の方法として、「咳(せき)をさせる」「おなかを突き上げる」「背中をたたく」を、人形を使って紹介。餅を一口大以下に切ることを推奨し、実際に切った餅を調理するなどした。やってはいけない例として「手で無理やり餅を取り除くこと」と「掃除機での吸引」を挙げ、話しながら食べることや冷めて固くなった餅などで喉に詰まらせやすくなるため、気を付けるよう伝えた。動画はアーカイブされ、カスミのフェイスブックページでも共有するほか、サイネージのあるカスミ約40店舗で年末年始にかけて上映する予定。
ライブ配信を終え、「あっという間の20分だった」と森さん。今年6月には心肺蘇生法のライブ配信を同様の形式で行ったが「その時よりもスムーズにできたと思う。無事に終わってよかった」と振り返った。
2019年の筑波大の研究は、年間4000人以上がものを喉に詰まらせて窒息死し、その数が一番多い日が元旦、次いで1月2日、3日となると発表。正月に食べられる餅が大きな原因とした。「家で餅を食べる機会が今年は特に増えるかもしれない」と感じ、動画配信をカスミに提案した。同店ソーシャルメディア担当の高倉綾子さんは「年末は繁忙期ということもあり、売るだけで精いっぱいだったが、売った商品が消費者の元でどうなっているのかを考えるきっかけとなった」と話す。
森さんは「研修で病院の現場を見ると、医療機関の負担を少しでも減らすためになにかしたいと思った。その一つとして餅の窒息を減らせれば」と話し、「高齢者や幼児、医療従事者などあらゆる人が健康にお正月を過ごしてほしい」と話す。