防災科学技術研究所(つくば市)が事務局を務めるN2EM(通称ネム)「National Network for Emergency Mapping」が5月24日に発足し、オンラインでの活動を開始した。
山口大学の三浦房紀副学長が会長、酪農学園大学の金子正美教授などが副会長を務める。活動内容は、自治体ごとに分散している情報をオープンデータとして収集し地図データに落とし込み公開すること。7月の鹿児島での豪雨災害の際には、鹿児島県内の市町村の避難所情報を地図データに落とし込み防災科研内での情報共有に一役買った。7月22日、23日には遠隔会議アプリZoomを使い、先日の鹿児島集中豪雨災害の際の対応についてオンライン反省会を行った。
事務局の遊佐暁さんは「地名や住所といった主観的な情報ではなく、緯度と経度という客観的な情報を地図に落とすことで、誰が見ても分かりやすい情報にしている」と言う。「現在は自治体ごとに情報のフォーマットが違う。避難所の地図一つとっても、データが画像で張り付けられていたり、地名が抜けていたり、地元の人以外には分かりにくいことが多い」と言い、「災害時はそこに住む人々の力だけでなく、外部の団体からの支援が必須。地図で混乱することなく、情報が瞬時に読み解ければ、救助や支援に集中できる」と語る。
ネムが提供するデータは、日頃から収集できる避難所の情報だけでなく、速報性も兼ねる。「あの避難所には何人いてここで給水が行われており、この地域で断水が起きているなどを1枚1枚別のレイヤーに落とし込み、地図に重ねていく。必要な情報を最も必要とされる時点で提供することで、支援に役立つ形で情報を提供できれば」と話す。
活動にはオンラインでの参加が可能。遊佐さんは「実際に被災地に行かずとも、オンラインで皆さんが持っているスキルを役立てられる。協力してほしい」と参加を呼び掛ける。今後もオンラインでのイベントなどで会員を募っていく予定。