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つくば在住の翻訳家が「発達障がい」テーマの物語を出版へ 「当事者以外も読んで」

林真紀さんと原作「Kids Like Us」(仮題は僕たちのような子どもたち)

林真紀さんと原作「Kids Like Us」(仮題は僕たちのような子どもたち)

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 つくば市在住の翻訳家で「つくば未来リサーチ」代表の林真紀さんが、ASD(自閉症スペクトラム障がい)の高校生マーティンが主人公の小説「Kids Like Us(原題)」を翻訳出版するプロジェクトに乗り出した。

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 プロジェクトは、LGBTなどのマイノリティーをテーマにした本を翻訳出版する出版社「サウザンブックス社」(東京都渋谷区)との出合いから始まった。同社はクラウドファンディングで資金を調達し、海外の本を翻訳出版する。林さんは「翻訳出版のマーケットは年々縮小されている。そんな中で、LGBTなどをテーマにしたマイノリティー向けの本を取り扱うということで興味が湧いた」と話す。

 自身も発達障がいの子を持つ親である林さん。翻訳コーディネーターとして発達障がいを扱った本のリサーチを行った際、「世の中に多くあるのは発達障がいに対するマニュアル本や、幼少期の子どもが主人公の物語。翻訳する価値があると思える本に巡り合えず、3年かかった」と言う。そんな中で「Kids Like Us」に出合った。「発達障がいの子を持つ親は、思春期や受験といった壁にぶつかる。成長していく過程でロールモデルがいないことが多い」という問題意識があった。同書は障がいを持つ主人公が高校生。「思春期の描写や、周囲が葛藤する様子がこれほどリアルな物語は他にない」と翻訳の草案を3カ月かけて制作。「プレゼンするより、読んでもらった方が早い」と同社に提案した。

 同書の読みどころについて「『友達をつくるとお母さんが喜ぶのはどうしてだろう』といった描写など、『普通って何だろう』と考えさせられた。障がいの当事者だけでなく、みんなに当てはまることがこの本には書いてある」と語る。

 6月11日には、クラウドファンディングで資金調達を始めた。「まずはクラウドファンディングを達成しないと出版できない。たくさんの方に届いて、発達障がいを持つ子の家族はもちろん、当事者以外にも読んでほしい」と意気込む。2020年春の出版を目指す。

 クラウドファンディングは9月9日まで。

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