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つくばの出版社が絵本「かぜのうた」を刊行 自然を感じる豊かな世界を

絵本「かぜのうた」を発行したポリフォニープレス代表の沢辺満智子さん

絵本「かぜのうた」を発行したポリフォニープレス代表の沢辺満智子さん

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 つくばの出版社ポリフォニープレス(つくば市吾妻1)が手掛ける絵本「かぜのうた」が5月25日、発売された。

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 同社は2020年につくば市で設立し、「かぜのうた」は2冊目の出版物となる。同社社長で、編集および文を担当した沢辺満智子さんはつくば市出身。挿絵はイタリア人絵本作家フィリップ・ジョルダーノさん。以前から交友があり、「いつかコラボレーションしたいと思い続けていた」と沢辺さん。風が吹きさまざまなものが音を出す様子を絵本にした同作は、日本ならではの四季やオノマトペがテーマ。フィリップさんは日本で暮らしたことがあり、「日本文化を自分なりに表現してみたい」と、作中にはこいのぼりや風鈴といったモチーフも登場する。沢辺さんは「色彩がはっきりした鮮やかなタッチが特徴。親子の読み聞かせにお薦め」と話す。

 前職ではイベント運営などに携わり、世界最大規模で開催される児童書の見本市ボローニャブックフェアを訪れた際、「絵本は子どもだけが読むものではない。自由で豊かで、芸術的な世界だと思った」といい、絵本を届ける出版社を立ち上げるきっかけとなった。これまでに2冊の絵本を出版し、「イベントは1回しかできない経験に価値があったが、本はより形に残り、読者の生活圏に入っていけるような仕事だと感じている」と語る。

 社名の由来である「ポリフォニー」とは独立した複数のコードが織りなす音楽のこと。「さまざまなアーティストや作者の独立した個性を尊重し、折り重なることでユニークな作品や、事業を生み出していきたい」という思いを込めた。同社の手掛ける作品は「子どもたちが自然と触れられるきっかけになるものを」と沢辺さんが選ぶ。つくばを拠点としたことについて、「筑波山麓で育ったことで、自然と対峙(たいじ)する時間が多く、想像力を培った地元でもある。つくばには人間と科学、自然が近いことも理由」と話し、「芸術や科学と人間の関わりや、感情に訴えるものを作っていきたい」と意気込む。同作についても、「自然を体験する本としてお届けしたい。外に出て、風を感じたときに親子でコミュニケーションできるようなツールになれば」と力を込める。

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