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つくばの文化財で現代アートを楽しむ展覧会 「アートと暮らし」感じて

会場となる矢中の杜で、NPO 法人“矢中の杜”の守り人の皆さんと、主催の山中周子さん

会場となる矢中の杜で、NPO 法人“矢中の杜”の守り人の皆さんと、主催の山中周子さん

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 筑波山麓の北条地域で現代アートを展示する「つくば北条アートプロジェクトpilot版」として、「矢中の杜(もり)展覧会」が10月22日から矢中の杜(つくば市北条)で開催される。

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 昭和初期の近代和風住宅「矢中の杜」を会場とし、現代アート作品を会場内に展示する同展覧会。展示作家は、塩谷良太さん、上根拓馬さん、大野修平さん、三浦かおりさん、小松冴果さん、寺村サチコさんら国内外やつくば市内でも活躍する現代美術家15人と筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻の学生らを中心とする若手作家6人合わせて21人を予定する。

 同プロジェクト代表の山中さんは「新しい表現に挑戦し続ける、さまざまなジャンルの作家に声を掛けた」と言う。「作家には可能な限り現場に足を運んでもらった。どの場所に展示をするかを決めてもらったが、場所がほぼかぶらなかったくらい、それぞれの見ているポイントがユニーク。展示作品と共にその場所性を感じてもらえれば」と話す。

 会場となる「矢中の杜」は、伝統的な和風建築でありながらも、独特の構造や材料が取り入れられている文化財。ボランティアベースで管理運用されており、今回のような展示は初の試みとなる。山中さんは「矢中の杜に初めて来た時に一目ぼれした。矢中の杜の守り人の方々に文化財での展示方法など相談しながら企画を実現させた」と開催の経緯を振り返る。管理するNPO法人「“矢中の杜”の守り人」事務局長の中村泰子さんは「ただ保存するだけではなく、活用してもらう動的な保存を目指している。この取り組みは矢中の杜にぴったり」と快諾したという。

 現代アートへの接点づくりを意識しており、チラシにも各作品にキャッチコピーを添えるなど工夫を凝らす。「一般的に画像だけでは現代アートは分かりにくいため、コピーを添えた。アートに触れる機会が少ない方は作品が何を意味しているかが気になることも多い。想像のきっかけになる言葉やキーワードを出してもらった」という。

 山中さんは「矢中の杜からは『完成された暮らし』が感じられる。建築自体は古いが新鮮で色あせていない。居心地のよさを感じる場所だった」と言い、「現代アートを見るのが初めてだとしても、ちょっとすてきな場所に来たという感覚で来られる場所。作品を目掛けてではなく、建築を感じに足を運ぶというきっかけがあってもいい」と話す。「アートを楽しむのはもちろん、日々を見つめ直す機会として、本展を通し少しでも日常が豊かになるきっかけとなれば」と来場を呼び掛ける。

 開館時間は12時~17時(最終日は15時まで)。入場料は800円。月曜~水曜休館。

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