昨年10月から行われているイベント「平砂アートムーヴメント2020」の美術展示「狢(むじな)PLAY:複数性のすみか」が3月14日から開かれる。会場はつくばセンタービル内で3月まで営業するアイリッシュパブ「フィンラガン」つくば駅前店(つくば市吾妻1)。
主催は筑波大学芸術専門学群の学生5人。参加アーティストを公募し、12人が参加する。10月からさまざまなイベントを行ってきたが、「集大成的なものとして美術展を最終目標にした。アーティストのジャンルはバラエティー豊か。絵画を置くだけでなく、空間との兼ね合いも考えられている」と栄前田愛香さん。同大の学生は12人中3人で、社会人アーティストや地元の高校生も参加し、現地で制作を行う。
前回の開催は2019年、筑波大学の廃舎となった平砂宿舎を舞台に55人のさまざまな作家がインスタレーションを展開し、1357人が来場した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で同学群の卒業展示も中止となる中、同店オーナーとつながり今回の企画を立ち上げた。同店はつくばセンター広場を中心につくば市が行っているにぎわい創出を目的とした「ソトカフェ」事業の一環として、同ビル内の空きテナントを活用している。
9月から構想し、10月にプロジェクト「open space」をスタート。同イベントディレクターの栄前田愛香さんは「展示までの期間は走りながらコンセプトなどを決めていった」と振り返る。「学外ではどういう人が集まるのか反応が見たい」と同会場で週末にトークイベントやライブペインティングなどを行ってきた。会場の装飾もイベントごとに行われ、現在はペイントされたカラフルな壁と床が広がる。親子連れなど普段の学生生活では関わりのない層が訪れることも多く、「アートへの関心が高くない人でも感想をくれる」とディレクターの阿部七海さん。接着剤やくぎなどを使わず、摩擦と重力で角材を組み上げるパフォーマンスを企画すると「『地球ならではのアートですね』と声を掛けられ、コメントにつくばらしさを感じた」と笑う。「駅前の広場を学生が使うのはうれしい」という反応もあった。「市内で活動する場所を見つけることが難しい中で、このような形で偶然まちなかに入り込めるのは面白い」と話す。
前回も参加したアーティストの江崎聖桜さんは全長2メートル直径1メートルの大木を削り、ベッドに見立てる作品を制作する。「訪れる人が作品に触ったり中に入ってみたりできる。ビルという人工物の中で、木の中で眠るという非日常を体験してほしい」と意気込む。
栄前田さんは「お酒を飲みながら作品を見る機会はなかなかない。つくばに関わる全ての人が見に来られる展示にしたい。イベント開催は難しい状況ではあるが、さまざまな人に見てもらいたい」と呼び掛ける。
営業時間は12時~20時。入場無料。現地制作は今月12日まで、展示は今月31日まで。